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棚田が美しい宕陰地域を訪ね、地域の伝統行事である、虫送りを再現した行事に参加します。虫送りとは、農作物の害虫を駆逐するために、その年の豊作を祈願して、たいまつを持って田を練り歩く郷土の風習です。現在は、棚田に無数の竹灯籠を設置して虫送りの風景を再現しています。竹灯籠の設置から点火までの体験など、棚田でのお米作りや郷土食から、里山の知恵と食文化を学びます。
京都市右京区にある宕陰地域は、愛宕山のふもとに広がる「越畑(こしはた)と樒原(しきみがはら)」の二つの集落で構成される地域です。平安時代からの古い歴史を持ち、「にほんの里100選」や「つなぐ棚田遺産」にも選ばれた美しい棚田や里の花、清流など、昔ながらの懐かしい里山の風情を今に受け継いでいます。
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北山杉の磨き丸太発祥の地”中川”を訪れ、木造倉庫群や巨大台杉を巡る集落ガイドツアー、丸太を砂で磨く丸太磨き体験、北山杉の箸づくり体験(作ったお箸はお持ち帰りいただけます。)などにご参加いただきます。北山杉は、室町時代に平安京の繁栄とともに高級建築に利用され、室町中期以来茶の湯の隆盛にともない、茶室など数寄屋建築に用いられるようになり発展を遂げ、約600年の歴史を刻んでいます。茶道や華道で使う和室の床の間にある床柱や北山杉の垂木は、わびさびのある空間づくりに必要不可欠な存在です。
中川は、約600年の伝統を誇る北山杉の産地として、そして川端康成原作「古都」の舞台となった地として、全国的に広く知られています。美しい杉林、木造丸太倉庫群、傾斜地に建つ古民家は、先人から育まれた北山林業の生業を今に伝え、独特の風情を醸し出しています。
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左京区別所地域において、地元の方々に教わりながら粽(和菓子)づくりを体験していただきます。作った粽(和菓子)は、昼食時に試食していただきます。この地域には、昔から良質のチマキザサが分布しており、地元では笹を採取・加工して、祇園祭の厄除け粽や京菓子用として出荷していました。別所のチマキザサは、香りが高く、葉が大きいことから、京都の伝統的な和菓子にも用いられてきました。近年、鹿による食害などでチマキザサは減少しており、再生に向けた取組が行われています。当日は、厄除け粽の制作工程やチマキザサの生育現場なども見学していただきます。
別所は、京都市内から北へ鞍馬をぬけて車で約50分、花脊峠を超えたところに広がる里山の風情を今に受け継ぐ地域です。祇園祭で使われる厄除け粽も、別所の良質の笹が使われ、都の伝統文化を支えてきました。市街地にも比較的近く、人の行き来が多い場所でもあり、市民農園や農家民宿など、豊かな里山の資源を活かした交流の場も魅力となっています。
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左京区久多地域において、花笠づくりを体験していただきます。花笠とは、ユネスコ無形文化遺産に登録されている久多の花笠踊(毎年8月24日開催)において用いられる美しい造花で飾った灯籠です。四角の行灯を六角の台の上に固定し、その台の周囲に布を垂らし、菊や牡丹・朝顔などの精巧な造花で全体を飾り、灯籠と台の各面に切紙細工を貼って作ります。体験においては、地元の方々に教わりながら小さな花笠を親子1組で1つ作り、作った花笠はお持ち帰りいただきます。体験当日は、久多の里山秋まつりが開催されますので、そちらで里山の食や文化も楽しんでいただけます。
久多は、京都市の最北端に位置する京都の奥座敷です。歴史は古く、室町時代から伝わる花笠踊りなどの伝統行事が受け継がれています。また、西日本では珍しい高層湿原「八丁平」には、貴重な自然が保たれています。キャンプ場、農家民宿等の豊かな「おもてなし」の環境も充実しています。
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「日本の柚子栽培発祥の地」として知られる右京区水尾地域を訪ね、伝統的に栽培されている柚子の加工体験を行います。加工体験では、柚子をしぼり、柚子ゼリーを作って、その場でご試食いただきます。水尾の柚子は、愛宕山の伏流水と寒冷な気候が香り高い上質な柚子を育み、高級食材として、京料理店や和菓子店で重宝されています。収穫の最盛期を迎える11月から12月には、地域外からも収穫のお手伝いの人々が訪れ、柚子の里は一段と活気づきます。柚子農家の家々では、収穫された柚子を入れた柚子風呂と鶏鍋のおもてなしなども行われています。
愛宕山の裾野にある水尾は、水尾帝とも呼ばれた清和天皇ゆかりの地で、古くは山城と丹波を結ぶ交通の要所でした。また、坂道、石垣が美しい昔ながらのたたずまいを残し、柚子栽培の発祥の地とされ、香り強く希少価値の高い実生の柚子を守り育てています。風光明媚で自然環境に恵まれた「身近な里山」が魅力です。
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右京区京北地域は、納豆発祥の地とも言われ、昔からお正月に納豆餅を食べる風習があります。京北山国地域にある常照皇寺には、開山した光厳法皇がわらつと納豆を愛用していたことを示す絵巻物が伝えられています。納豆餅づくり体験では、茅葺き(かやぶき)屋根の農家民宿で、足踏み式の餅つき機でついた餅で納豆を包み、塩や黒糖で味付けします。作った納豆餅はその場で試食していただきます。茅の輪は、神社の参道に設けられる、茅萱(ちがや)で作った輪っかです。これをくぐることで、心身を清めて厄災を払い、無病息災を祈願します。茅の輪づくり体験では、小さな茅の輪を作り、作った茅の輪をお持ち帰りいただきます。当日は、会場にて京北めぐる市が開催されていますので、地元の料理を食べたり、京都里山めぐる展もご覧いただけます。
京北は、平安時代から都へ木材を供給してきた林業の里です。豊かな森林と蛍が舞う清流など良好な自然環境に恵まれ、皇室ゆかりの常照皇寺、明智光秀築城の周山城址など歴史遺産も豊富です。時代祭の先頭を歩く、維新勤王隊「山国隊」のふるさととしても知られています。